どくだみのこと

「どくだみ」について書こうと思う。
書いたのは大学生だった頃。
当時住んでたマンションのベランダに出ると、庭に大量のドクダミが咲いてた。
庭といってもマンションの敷地とブロック塀の間の雑然とした空間で、昼間もあんまり日が入らない。
隣の部屋に住んでた男性と、たまにベランダで顔を合わせて、目線を外して礼をした。
一人暮らしの若い男だったけど、ベランダに出てタバコを吸ってた。
それも割と長い時間、ドクダミを眺めながら。
どくだみの花言葉は「白い追憶」。
その時調べたのか、知っていたのか覚えてないけど、この題材で曲を書きたいと思って、
歌詞をバーーーっと書いた。
どくだみのように、じめーっとした、ねちっこくて、悲しいけど、日陰の世界を征服するような、そんな曲にしたいと思った。
詞をまず書いて、その後、紙をピアノの前に置いて、それで曲を作る。
これか長年のスタイル。
一気にできることもあれば、何年も未完成の曲もある。
「どくだみ」は歌詞を書いた時点で、頭の中で映像が出来上がってから曲もすらすらーと書けた気がする。(気がするだけかもしれないけど)
アパートの6畳間、陽が注がない小さな部屋でひっそり生きる男。大切な人を失って、抜け殻のように生きている男が、ベランダに出ると、どくだみの花が咲いている。
6月、梅雨のど真ん中、どくだみは蔓り、湿気で息苦しいのに、何故か生きていることを実感する。日の当たらない場所で、ほんの少しだけで前向きな気持ちになるのは何故だろう
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一通り曲ができた後、微妙なコード感にすごくこだわって(特にBメロとか)、完成版と言えるものにたどり着くまで結構時間がかかったかな。
CD版ではアレンジの知り合いの方に頼んだけど、私の注文(かなり面倒くさい)を一つずつクリアしてくれて、じめーっとねちーっとしたどくだみ感を出してくれてる。
良い音源です。
盛り上がらないのでライブであまり演奏しない。梅雨の時期に気が向いたらという感じ。
たまたま久しぶりに弾いた時、中国人の方がいらしてて、ライブ後に声をかけてくれた。
「とても良かた。ライブ素敵でした。特ににドクダミよかたです。ちゅごくでは薬草。でも良い曲でした」
この感想が今まで一番心に残ってる。
CDなんて買う時代ではないけれど、あえて買ってみてください聞いてみてください。
https://awayuikanako.thebase.in/items/1807101
歌詞
https://www.awayuikanako.com/201-dokudami
Youtube (short)
https://www.youtube.com/watch?v=ZHbM6KiOLoQ