古いブログから ~東日本大震災、体験記⑤

March 10, 2016

2011/07/20 22:10

 

19:30頃
もう一度15階までの階段を上る。今日一日だけで相当の運動量だ。疲れもあるし、真っ暗だし、転びそうで怖かったが、気を張っていたせいか母も私も一度もこけなかった。途中、おばあさんがふろしきに包んだ荷物を片手にかかえ、ろうそく片手に降りてきた。
母が声をかけた。
1510号室に住むおばあさんだった。どうやら、同居している娘さんたちが帰ってこなくて、一人で高い場所にいても怖いだけだから体育館に避難するらしい。ちょうど今体育館の様子を見てきたところで、パイプ椅子くらいしか空いていないと伝えた。それでもいいんだ、一人じゃ怖いから、そうゆっくり言ったおばあさんはとても小さかった。
我々の住むマンションは4棟から成り、上から見るとコの字型になっている、いわゆる大型マンションである。会議室やゲストルームも併設されていて、マンションの住人なら使うことができる。管理人に頼んで2階にあるゲストルームにおばあさんを泊めてもらえるようにしようと母が言った。ゲストルームなら地震がまた来ても倒れてくるものもない。3人で階段を下り始めた。

管理人にお願いしたが、既にゲストルームは重病人のために使われていて、立ち入り禁止だということだった。
おばあさんが静かに言った。
「いいんです、ご親切にどうも。体育館に行けばみんないて安心だから」

足元を懐中電灯で照らして3人で体育館へ向かった。鉄のドアをがらがらと開けると、相変わらず不安な目をした人間たちで埋め尽くされていた。母が体育館で仕切っている人に声をかけた。
「おばあさん一人なんです、宜しくお願いします。」と言った。きっと80歳を超えているだろう。15階から歩いてくるだけでも相当疲れたはずだ。とても心配だったけれども、「また明日会おうね」と言ってお別れした。

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