古いブログから ~東日本大震災、体験記⑥

March 10, 2016

2011/07/22 21:11

 

長い一日だった。
非常階段を15階から1階まで、1階から15階まで何往復しただろう。体力的にも精神的にも疲れているはずなのに、その時は疲れたとは思わなかった。気を張っていたからだろう。

家のリビングに川の字にひいた布団の上に座り、夜をやり過ごした。3月だけどとても寒かった。
特に何もすることもない。テレビもつかない、下手に動けばガラスの破片があるし、電気もガスも水も止まっているから風呂も入れない。

我々家族三人は、暗闇の中で細々と揺れるろうそくの光をみていた。地震がくるたびに吹き消した。懐中電灯はあったけれど、電池の替えがなかったからつけっぱなしにはできなかったのだ。

何も話さなかった。とても寒かった。ラジオが大きく響いた。

ラジオから嘘なのか本当なのか信じられない情報が流れた。

「未確認ですが、若林区役所まで津波が到達したという情報が届いています。」
「若林区荒浜の海岸では200~300の死体が確認されているとのことです。津波の危険があり海岸には近寄れないが、警察が目視で確認した数です。」
「先ほど入ってきた情報によりますと、陸前高田市は壊滅状態とのことです。」

3月11日のことを思い出す時、まず初めに頭に浮かぶのは、この絶望的な夜の光景だ。
小さい頃連れて行ってもらった海岸に何百もの死体が浮かんでいる様子を思い浮かべ、身震いした。フィクションなんだと言ってほしかった。

不安と恐怖でいっぱいだった。それでも、明るくなれば、少しずつ全てがよくなるだろうという希望もあった。

しかし、その少しの希望は、翌日から確実に絶望へと変わっていった。

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