適当にやってない
楽しいから歌ってる。
歌いから歌ってる。
もちろんそうだけど、適当にやってるわけじゃない。
この「た」の発音はこっちかな、違うかな、この「た」だな、
口の開け方とか吐きそうになるくらい変顔して、決めてる。
泣きそうな「好き」かな、こみ上げる「好き」かな、
ってかまじ「好き」だなとか、嫌いな自分の顔見て、
発狂しそうになりながら向き合ってる。
ソシレ、かな、シレソかな、あえてシレかな。
この積み重ねだと思ってる。
今日のあそこの「タ」の発音がよかったと言ってもらいたいわけじゃなくて。
なんか今日聴きに来てよかったーって言ってもらえるのは
小さな小さな事柄の積み重ねが紡いでくれるもの、なのだ。
1ミクロンの厚さでも、積み重ねたら月までたどり着けるもの、なのだ。
だからね、適当にやってないよ、私。