「丁寧に」
歌い始めた最初の頃は、
緊張する、早く終わりますように、なんて気持ちの方が勝ってた。
そりゃ、響かないよね。
届かないよね。
クラシックの楽譜の右上に、
ModeratoとかAndanteとかLegatoといった標語が書いてある。
小学生の頃ピアノを習っていたのだけど(すごく嫌いだった)、
先生に「中くらいの速さで」「なめらかに」とか、その標語の上に鉛筆で書いてもらってました。
近頃、ライブで演奏を始める時、
頭の中に自分の楽譜を思い浮かべて、
そして標語の場所に、
「丁寧に」と書き込んでから歌い始めるようにしています。
一文字一文字、届くように、
ラド♯ミの響きが伝わるように。
悲しみが、やさしさが、染みるように。
シャボン玉を吹くような感じ。
そしたら、相変わらず手足は震えるけど、心は震えなくなった。
自分が伝えようとしたら、世界はいつも開いてくれているんだなあ。
ありがたいことです。
先日とあるお客様から
「丁寧に大切に歌ってる」という言葉をいただいてとても嬉しかった。
大切に歌っていきます。
もっと、もっと、はかなくも、貪欲に。